普及啓発

粒子線がん治療等に関する施設研究会

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粒子線(重粒子線・陽子線)がん治療は、高精度な治療技術に求められる所要の機器やシステムをはじめ、施設全体の設計、機器配置、建設、および遮蔽等さまざまな関連分野において、研究開発および技術的対応、規格基準の整備など、適確に対応していくことが求められております。さらにこれらは、実際の医療の臨床現場での治療技術とのインターフェイスが重視され、システムとしての調和や品質管理も重要となっております。
 「粒子線がん治療等に関する施設研究会」は、粒子線治療施設建設の視点から、 先行施設の実地調査を行うとともに、実際に治療に携わっている専門家から講義を受け、現状を把握した上で、普及に係る課題・対策の分析・ 検討に資するとともに、関係組織相互の情報の共有化をはかり、専門知識を有する人材育成をはじめ関連産業の育成・発展に寄与することを目的に実施しております。
 研究会会員は、設計、建設、装置製造、情報処理、保険等幅広い関連分野の技術者、研究者および実務者で構成され、国内外における粒子線がん治療等に関する医療情報、研究・技術開発動向、ならびに関連法令や技術基準の動向などの現状および将来見通しや課題・対策などに関して、講演および関連施設の見学および意見交換を行っております。

【 主査】

遠藤 真広 公益財団法人 医用原子力技術研究振興財団 常務理事



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「平成29年度粒子線がん治療等に関する施設研究会」第2回研究会


 「平成29年度第2回施設研究会」は平成29年12月2日(土)公益財団法人 大阪重粒子線がん治療財団(大阪府大阪市)にて大阪重粒子線センターの見学会として開催し、建設・設計会社、装置メーカー等から39名の参加がありました。

 当日は、はじめに大阪国際がん治療財団 大阪重粒子線センター センター長 溝江純悦 先生、大阪重粒子線施設管理株式会社 技術部長 坂本豪信 先生、大阪国際がん治療財団 大阪重粒子線センター 副センター長 金井達明 先生より大阪重粒子線センターのご紹介があった後、同センターを見学させていただきました。


<大阪重粒子線がん治療施設の特徴>
・国内6番目の重粒子線がん治療施設
・民設民営施設
・都心に位置する重粒子線施設
・大阪国際がんセンターと連携して医療の提供
・世界最高水準の最先端の治療装置
(スキャニング照射、動体追跡照射)

    

  

     外観  

 <施設概要>
敷地面積:5,398㎡、建築面積:3,430㎡、延べ床面積:8,849㎡、高さ21.6m、治療棟:地上3階,鉄筋コンクリート鉄骨造(1F 加速器、HEBT系エリア、2F HEBT系エリア、3F HEBT系エリア)治療室:水平/垂直ビームライン室2、水平/45度ビームライン室1、診療棟:地上3階,地下1階,鉄筋コンクリート造(相談室1, 診察室6, CT室2, MRI室1, 固定具製作室2)大阪城公園に面する外壁は花崗岩打込みPC板で大阪城の石垣と呼応する「積み重ね」を表現したデザインとなっている。
<粒子線装置概要>
イオン源:ECR 1台(10keV/u) LEBT系 入射器:RFQ + AFC IH DTL(4 MeV/u) MEBT系 主加速器:シンクロトロン 出力エネルギー:140~430MeV/u HEBT系:1F 3室水平、2F 1室45度、3F 2室垂直、治療室1:水平,45度,スキャニング照射,動体追跡照射 治療室2:水平,垂直,スキャニング照射,動体追跡照射,In room CT 治療室3:水平,垂直,スキャニング照射,将来In room CT設置可能
<治療装置概要>
シンクロトロン:直径17m,周囲56.8m、エネルギー:11エネルギー、最大照射野:アイソセンタ面で200×200、線量率:飛程200㎜で1リットルの照射体積に対して5GyE/min、レンジシフタ:バイナリ型,0.2~12.8㎜(7ビット)、リップルフィルタ:水等価厚2㎜、治療台:6軸スカラー型ロボット、X線撮像システム:X線管及びFPD正側位置決め用,直交2軸、動体追跡用,直交2軸


講義


<整備工程概要>
建物設計管理:株式会社日建設計
建物施行者:鹿島建設株式会社
建物設計期間:2014年6月9日~2015年4月
建物建設期間:2015年8月7日~2017年10月2日
装置製作:株式会社日立製作所
装置設計出荷工期:2014年7月~2017年4月
装置据付調整:2017年1月~2017年7月
装置現地試験:2017年7月~2019年4月
治療室3引渡し:2018年4月(予定)、治療室2引渡し:2018年9月(予定)
治療室1引渡し:2019年4月(予定)
<今後の予定>
診療所開設:2018年3月1日
試験調整:治療室3、スキャニング照射、薬事申請:2018年4月(治療室3)、クリニカルコミッショニング(治療室3):2018年4月~10月、試験調整:治療室1&2,動体追跡照射、薬事変更申請:2018年10月、クリニカルコミッショニング(治療室2):2018年10月~、クリニカルコミッショニング(治療室1):2019年4月~、治療開始予定:治療室3, 2018年10月、治療室2, 2019年1月、治療室1, 2019年6月
<運営形態>
大阪重粒子線施設管理株式会社:建物、装置整備、保守等担当
公益財団法人大阪国際がん治療財団:医療、運営担当
<想定年間治療数>
想定年間治療数:800人
前立腺400人(50%)、肝臓120人(15%)、肺96人(12%)、膵臓40人(5%)、その他144人(18%)
<高速スキャニング法・動体追跡照射の採用>
高速スキャニング法
細いビームをそのまま移動させて次々とピンポイントに照射する。腫瘍の形状に合わせて照射可能であるため、正常細胞への障害が少なくなることが期待される。補償フィルタや患者コリメータが不要といった利点もある。
動体追跡照射
移動性患部に対し、体内に埋めた金のマーカーを追跡して照射する。1秒間に30回撮影し、マーカー位置をリアルタイムで把握することで、より高精度な照射方法を採用している。

 大阪重粒子線センターは、現在(2017年12月2日)加速器のビーム試験が始まったところで、2018年3月1日に診療所として発足、2018年10月より治療開始の予定です。最先端の治療装置を備えた都心に位置する大阪重粒子線がん治療施設は、「治療しながら働き続ける」がん治療の実現、また、国際医療貢献等も期待されています。



「平成29年度粒子線がん治療等に関する施設研究会」第1回研究会


  「平成29年度第1回施設研究会」は平成29年5月20日(土)社会医療法人財団慈泉会相澤病院(長野県松本市)にて陽子線治療センターの見学会として開催し、建設・設計会社、装置メーカー等から18名の参加がありました。


 当日は、はじめに荒屋正幸先生(相澤病院 陽子線治療センター長)から講義があった後、陽子線治療センターを見学させていただきました。


 


 社会医療法人慈泉会相澤病院は北アルプス連峰の麓松本市のJR松本駅から近い住宅街に位置しています。創立は1908年、病床数460床の病院です。


―陽子線治療導入の経緯―
2000年にこの地方で初めてガンマナイフを導入、2007年がん集学治療センター開設にあたりトモセラピーを導入しました。同じ時期に日本各地で粒子線施設建設プロジェクトが始まり、国内で粒子線治療施設開設の気運が高まっていたことから相澤病院でも導入を検討しましたが、当時の一般的なサイズは大掛かりなもので、住宅街の中にあるといった立地条件を鑑みると実現は難しい状況でした。2010年に住友重機械工業㈱より小型ガントリー、上下配置式による低コスト化・小型陽子線治療システムの提案があり、世界初の上下配置式小型陽子線治療設備の導入により実現可能となりました。がん集学治療センターは、化学療法科、緩和ケア科、腫瘍精神科、がん患者家族支援センター、放射線治療部門で構成され、放射線治療部門にはガンマナイフ、トモセラピー、陽子線治療装置を備え、定位放射線治療、IMRT、陽子線治療という特化した放射線治療を行っています。
―コミッショニング・適応拡大―
相澤病院の装置は高精度ビーム照射システムを採用し、拡大ビーム法とペンシルビームスキャニング法の両方が可能といった特徴があります。1つの治療室で2つの照射方法が可能というのは世界初の技術です。拡大ビーム法(ワブラー法)から治療を開始し、並行してスキャニング法のコミッショニングを行い、引き続いてそれによる治療を開始しました。 スキャニング法での治療疾患は70症例。その大多数が前立腺がんで、最近では小児腫瘍、脳腫瘍が増えてきています。2015年まではワブラ―法のみの治療でしたが、2016年1月からスキャニング法による治療も可能になり、前立腺の全てがスキャニング法に移行しました。現在は拡大ビーム法よりもスキャニング法での照射が増えています。


 以前の先進医療では限局性固形がんすべてを対象としていましたが、H28年5月から先進医療A(日本放射線腫瘍学会が指定する9領域38病態)および先進医療Bのみが対象となったため、現在陽子線治療ができる範囲は以前よりも限定されています。そのため一般的には陽子線治療を受ける患者様は2割程度減っているといわれています。相澤病院では2014年は9月から自由診療として行い12症例、2015年はスキャニング法のコミッショニングを並行して行い44症例、2016年は80症例、2017年1月~4月では36症例の治療を行っており、毎年増加傾向にあります。日本放射線腫瘍学会によると1治療室あたり120症例を適正な受け容れ能力と位置づけていますので、今年はその数に近づくことが予想されます。なお、X線治療または粒子線治療の選択については、患者さんの意思が尊重されているといった説明がありました。



【これまでの主な活動内容】

開催日・会場

事業内容

報告書

講演会

平成29年2月8日
フクラシア東京ステーション

「世界の重粒子線施設の現状」
(放射線医学総合研究所 野田 耕司 氏)
 「日建設計における重粒子線がん治療施設設計の歩み」
(株式会社 日建設計 冨田彰次 氏)

施設見学会

平成28年12月17日

社会医療法人 禎心会 札幌禎心会病院(北海道札幌市)

施設見学会

平成28年06月04日

一般財団法人脳神経疾患研究所附属総合南東北病院(福島県郡山市)

施設見学会

平成28年03月10日

国立研究開発法人 放射線医学総合研究所(千葉県千葉市)

講演会

平成28年02月05日
フクラシア東京ステーション

「米国における日立の粒子線治療施設普及状況」 
(株式会社日立製作所 藤崎雄滋郎 氏)
「加速器BNCTの普及状況」 
(筑波大学 熊田博明 氏)

施設見学会

平成27年10月16日

一般財団法人津山慈風会 津山中央病院(岡山県津山市)

講演会

平成27年02月09日
フクラシア東京ステーション

「粒子線治療防護に関するICRP Publication」 
(放射線医学総合研究所 赤羽恵一 氏)
「世界の重粒子線がん治療施設の現状と今後の見通し」 
(放射線医学総合研究所 北川敦志 氏)

施設見学会

平成26年11月10日

神奈川県立がんセンター (神奈川県横浜市)

施設見学会

平成26年06月03日

京都大学原子炉実験所 (大阪府泉南郡熊取町)

講演会

平成26年02月05日
日本橋サンスカイルーム

「粒子線治療施設の遮蔽計算」
(高度情報科学技術研究機構 仁井田浩二 氏)
「粒子線治療施設における放射化物」
(放射線医学総合研究所 米内俊祐 氏)

施設見学会

平成25年10月22日

北海道大学陽子線治療施設(北海道札幌市)

施設見学会

平成25年05月10日

九州国際重粒子線がん治療センター(佐賀県鳥栖市)

施設見学会

平成24年11月13日

慈泉会相澤病院陽子線治療センター(長野県松本市)

施設見学会

平成24年02月17日

名古屋市立西部医療センター(愛知県名古屋市)

施設見学会

平成23年12月04日

財団法人 メディポリス医学研究財団 がん粒子線治療研究センター
(鹿児島県指宿市)

講演会

平成23年11月07日
日本消防会館

「国立がん研究センター東病院の陽子線治療施設運用について」
(独立行政法人 国立がん研究センター東病院 西尾禎冶 氏)
「兵庫県粒子線医療センターの陽子線・炭素線施設運用について」
(兵庫県粒子線医療センター 須賀大作 氏)

講演会

平成23年07月25日
日本消防会館

「PTCOGの歴史」(財団法人 原子力安全技術センター 河内清光 氏)
「粒子線治療と歩んだ30年と今後の展望について」
(元 独立行政法人放射線医学総合研究所 辻井博彦氏)

研究会

平成23年03月03日

放射線医学総合研究所重粒子医科学センター新治療研究棟の視察
講演 「粒子線治療施設の放射線安全管理システム―インターロックシステム、モニタリングシステムについて-」

講演会

平成22年08月23日
日本消防会館

「2025年における日本の高齢者肺癌の診療戦略 -放射線と外科の役割変化-」
(放射線医学総合研究所 宮本忠昭 氏)
(放射線医学総合研究所 飯沼  武 氏)
「重粒子線がん治療等の先進医療の医療経済的評価」
(東京医科歯科大学 川渕孝一 氏)

施設研究会

平成22年05月07日

福井県陽子線治療センター(福井県福井市)

講演会

平成21年11月19日
日本航空会館

「重粒子線がん治療の現状」
(独立行政法人 放射線医学総合研究所 鎌田正 氏)
「PTCOG(ハイデルベルク開催)への参加報告」
(独立行政法人 放射線医学総合研究所 北川敦志 氏)
「医療用加速器へのエネルギー貯蔵装置の適用について」
(国立大学法人 筑波技術大学 佐藤晧 氏)

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