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第2回講演会 そこまで来た次世代がん診断・治療法 報 告

報 告

平成17年12月9日(金)、原子力(放射線)利用技術の医療への貢献―そこまで来た次世代がん診断・治療法―と題して、当財団主催、名古屋大学医学部放射線科、㈱名古屋先進量子医療研究所の共催により、講演会が名古屋大学豊田講堂にて開催された。

講演会には、1300人に及ぶ市民、教育関係者、損保・生保の関係者、粒子線施設の導入を検討している自治体の関係者、電力・原子力の関係者、がん患者およびその家族、文部科学省関係者他の方々が参加した。

講演に先立ち、当財団森亘理事長から「原子力という言葉は、唯一の被爆国であるわが国では原子爆弾を思い浮かべ、イメージが非常に悪いが、原子力の平和利用、特に医学・医療に関連した利用は人々の健康・福祉に計り知れない貢献をしている。がんが治るようになってきたのは、診断法の開発によって、早期診断や早期治療が可能となってきたこと。また、外科療法の改善や、いろいろな化学療法の開発があり、中でも放射線によるがん診断やがん治療の発達というものが最も強力な大きなものの一つである」と挨拶があった。

引き続いて5人の講師によって講演が行われた。講演は3部に分けられ、座長は、第1部を井上俊彦大坂大学名誉教授、第2部を森田皓三愛知県がんセンター名誉院長、第3部を当財団平尾泰男常務理事が務めた。

第1部は原子力技術を利用した診断法で、国立長寿医療センター・伊藤健吾部長から放射線を使ったがんの診断・治療の最新事情、特にPETを中心とする最新のがん診断について紹介があった。

第2部は重粒子線治療で、放射線医学総合研究所・溝江純悦病院長から「重粒子線治療の10年の歩み」と題して、通常の放射線治療に比べてがん細胞を殺傷する効果が数倍高く、照射時間が短い上、周辺の正常な細胞を損傷する副作用が少ないとされる重粒子線(炭素イオン線)治療の原理、治療対象症例、治療成績などについて詳細な説明が行われた。

続いて、重粒子線治療を受けた患者の立場から、梶原拓前岐阜県知事は、2年前に受けた前立腺がん治療の体験を話し「このような素晴らしい治療を皆が受けられるよう治療費を何とかしなければならない」と、建設費のコストダウンと健康保険適用の必要性を訴えた。

さらに重粒子線治療を体験した二人の患者さんの体験談がビデオで紹介された。

第3部では、当財団・曽我文宣主席研究員が重粒子線治療について、歴史、わが国の現状、普及型装置の開発状況および中性子補足療法の紹介を行った。最後に、名古屋大学医学部放射線科・石垣武男教授が「患者にとって普段通りの生活を維持しながわ治療ができる」重粒子線がん治療の利点を説明し、さらに同科を中心に進めている重粒子線治療施設「名古屋高度先進医療センター」建設計画について説明した。

最後に、当財団の平尾泰男常務理事から閉会の挨拶があり、4時間30分にわたって行われた講演会が終了した。