粒子線がん治療等に関する施設研究会
粒子線(重粒子線・陽子線)がん治療は、高精度な治療技術に求められる所要の機器やシステムをはじめ、施設全体の設計、機器配置、建設、および遮蔽等さまざまな関連分野において、研究開発および技術的対応、規格基準の整備など、適確に対応していくことが求められております。さらにこれらは、実際の医療の臨床現場での治療技術とのインターフェイスが重視され、システムとしての調和や品質管理も重要となっております。
「粒子線がん治療等に関する施設研究会」は、粒子線治療施設建設の視点から、 先行施設の実地調査を行うとともに、実際に治療に携わっている専門家から講義を受け、現状を把握した上で、普及に係る課題・対策の分析・ 検討に資するとともに、関係組織相互の情報の共有化をはかり、専門知識を有する人材育成をはじめ関連産業の育成・発展に寄与することを目的に実施しております。
研究会会員は、設計、建設、装置製造、情報処理、保険等幅広い関連分野の技術者、研究者および実務者で構成され、国内外における粒子線がん治療等に関する医療情報、研究・技術開発動向、ならびに関連法令や技術基準の動向などの現状および将来見通しや課題・対策などに関して、講演および関連施設の見学および意見交換を行っております。
主査
遠藤 真広 公益財団法人 医用原子力技術研究振興財団 常務理事
最新の活動報告
令和7年度第1回施設研究会(見学会)
令和7年度第1回施設研究会は令和7年6月3日(火)、社会医療法人明陽会 成田記念陽子線センター(愛知県豊橋市)において陽子線治療装置の見学会
として開催され、建設、設計、装置メーカー等から17名の参加がありました。
当日は、成田記念陽子線センター 事務長 大東信幸様よりご挨拶および「施設の概要」についての説明後、センター長 芝本 雄太先生のご講義「当院におけるスキャニング陽子線治療の現状と展望」があり、続いて院長 栁 剛 先生より「当院の陽子線治療 ‐ 膵臓癌と肝臓癌を中心に ‐」のご講義がありました。
その後、陽子線治療装置PROTEUS ONE(超伝導シンクロサイクロトロン、220度回転ガントリー、ペンシルビームスキャニング照射装置)などを見学させていただきました。特に操作室から治療の様子を見学させていただきましたが、自動化された装置により非常に手際良く、位置合わせを行っているのが印象に残りました。
令和6年度第3回研究会(講演会)
令和6年度第3回研究会は令和7年2月28日(金)AP東京丸の内(東京都千代田区)において講演会として開催し、建設、設計、装置メーカー等から14名の参加がありました。
- 核医学治療 - 放射能でがんが治るんです」
金沢大学
副学長 絹谷 清剛 先生 - 「都市型重粒子線治療施設の立ち上げ、ふり返り」
大阪重粒子線センター 主任部長 放射線治療専門医
教授 鈴木 修 先生
令和6年度第2回研究会(見学会)
令和6年度第2回施設研究会は、令和6年10月28日(月)に医療、育種、宇宙開発、およびレーザー技術の4分野に重点を置いて実用化に向けた研究開発を推進している公益財団法人 若狭湾エネルギー研究センター(福井県敦賀市)の見学会として開催され、建設、設計、装置メーカー等から9名の参加がありました。
当日は、はじめに所長 野田耕司先生よりご挨拶および同センターの概要(陽子線治療の概要含む)のご紹介があり、続いて、研究開発部次長 久米 恭先生より陽子線治療の詳細(①過去の研究と県立病院陽子線治療センターの仕様の反映②陽子線治療について現在行っている研究③その他のトピックなど)についてご説明がありました。その後、放射線研究棟のタンデム加速器、シンクロトロン、照射室等を見学させていただきました。
令和6年度第1回研究会(見学会)
令和6年度第1回施設研究会は令和6年6月28日(金)、中部国際医療センター 陽子線がん治療センターにおいて陽子線治療装置の見学会として開催され、建設、設計、装置メーカー等から18名の参加がありました。
当日は、中部国際医療センター副病院長 山田実貴人先生のご挨拶の後、放射線技術部 医学物理士の田野倉 亮 先生のご講義「ProBeam 360°の初期経験」があり、続いて陽子線がん治療センター 施設長 不破信和 先生より「中部国際医療センターの目指す陽子線治療」のご講義がありました。
その後、陽子線治療装置ProBeam360°、およびX線強度変調放射線治療(IMRT)など高精度放射線治療に特化したリニアックHALCYON等を見学させていただきました。
令和5年度第3回研究会(講演会)
令和5年度第3回研究会は令和6年2月22日(木)丸ビルホール&コンファレンススクエア(東京都千代田区)において講演会として開催し、建設、設計、装置メーカー等から15名の参加がありました。
<プログラム>
- 「山形大学医学部東日本重粒子センターの計画から治療開始まで」
山形大学医学部東日本重粒子センター
センター長 岩井岳夫 先生 - 「MRリニアックによる適応放射線治療の現在とその将来」
千葉大学大学院医学研究院 画像診断・放射線腫瘍学
教授 宇野 隆 先生
令和5年度第2回研究会(見学会)
令和5年度第2回施設研究会は令和5年10月13日(金)、大阪医科薬科大学(大阪府高槻市)の関西BNCT共同医療センターにおいてBNCT装置の見学会として開催され、建設、設計、装置メーカー等から14名の参加がありました。
当日は、はじめに同センターのBNCT治療室を見学させていただいた後、大阪医科薬科大学 放射線腫瘍学教室 助教武野 慧先生より「頭頸部BNCTの現在」と題してBNCT治療についてご講義があり、続いて大阪医科薬科大学BNCT共同臨床研究所 所長 小野 公二先生より「BNCT総論」のご講義がありました。
令和5年度第1回研究会(見学会)
令和5年度第1回施設研究会は令和5年5月19日(金)、湘南鎌倉総合病院(神奈川県鎌倉市)の先端医療センターにおいて陽子線治療装置、BNCT装置の見学会として開催され、建設、装置メーカー等から18名の参加がありました。
当日は、はじめに予防医学センター長 中島留美先生より「湘南鎌倉総合病院の取り組み」と題して、先端医療センター、外傷・救命救急センター、予防医学センターのご紹介があり、続いて、放射線腫瘍科医学物理室長 後藤紳一先生より「湘南鎌倉総合病院の放射線治療」と題して、陽子線治療、BNCT治療のご説明がありました。その後、2021年4月にオープンした先端医療センター内の陽子線治療装置(稼働中)、及び、現在臨床開始に向けて準備中のBNCT治療装置を見学させていただきました。
令和4年度第3回研究会(講演会)
令和4年度第3回研究会は令和5年3月9日(木)AP東京丸の内(東京都千代田区)において講演会として開催し、建設、設計、装置メーカー等から22名の参加がありました。
プログラム
- 「マルチイオンを用いたLET最適化重粒子線治療」
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 量子医科学研究所
重粒子線治療研究部
部長 小藤昌志 先生 - 「京都府立医科大学の陽子線治療」
京都府立医科大学 放射線診断治療学講座
特任教授 山崎秀哉 先生